
〜早口言葉の練習からスタート
ネイティブ教員と日本人教員とのティームティーチングによる授業は基本的に英語で進められ、文法の説明は日本語で行われます。
授業の始めは早口言葉の練習。黒板に書かれた例文を、ネイティブの先生に習って全員で声に出して読みます。リズミカルに速いテンポで、先生と子どもたち全員が交互に繰り返し読んでいきます。
cuts the cake
counts cookies
かなり早いテンポですが、みんな慣れていて上手。発音もきれいです。これが授業のウォーミングアップにもなります。
〜ペアゲームで意味を当てる
次に隣の友だちとペアになってゲーム。机の上に開いたテキストには、いろいろな絵が描かれています。ネイティブの先生がどれか一つを選び短く説明するので、それを聞き取って自分たちのテキストの絵を指さします。先に見つけたほうが勝ち。
子どもたちは驚くほど意欲的で楽しそう。みんなでワイワイと取り組みます。「ゲーム」と「言語」の組み合わせにより、聞いて理解する力が自然に身についていくことがわかります。
このゲームを何度か繰り返してから、次の学習へと進みます。
〜ティームティーチングによる会話・物語の音読
今度は先生二人による会話と、ネイティブの先生による物語の音読。どちらも言葉を区切ってゆっくりと話し、子どもたちはそれを聞き取ります。
「何の物語ですか。日本語で答えていいですよ」と英語で質問されると、「はだかの王様」と数人の子どもが答えます。先生はうなずき、
「はだかの王様について、だれか日本語で話してください」
先生の質問に、子どもたちは積極的に答えます。
閉じていた教科書を開き、みんなで「はだかの王様」を音読します。教科書は挿絵が多く、その間に英文が書かれていて読みやすく、ストーリーも追いやすくなっています。
次に、先生は指名したり、挙手させたりしながら、一文一文を子どもに訳させます。英文には否定文も出てきますが、子どもたちはすべての英文を訳すことができました。
〜haveの学習
ネイティブの先生が教えている間に、日本人の先生が英文を板書します。
先に行われたティームティーチングによる会話の一文や、「はだかの王様」からいくつかの英文が書き出され“have”“has”に下線が引かれています。
I have a small worm.
It has a white body.
I have a new robe.
Our king has a new robe.
He has a nice robe. |
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日本人の先生が“have”について教えます。意味と文法を、的を絞ってゆっくりとわかりやすく説明。文法については、“have”と“has”で形が変わること、発音をしっかりと分けておくことを教え「中学になるとまた習います」と付け加えました。
日本人の先生が教える間、ネイティブの先生は補助にまわり、個々の子どもをサポートします。
〜ノートをとる時間も確保
子どもたちは英語専用の横ケイの入ったノートに板書を写します。ノートをとる時間は十分に与えられます。「教科書に書き込んでもいいのですよ。自分の好きなようにね」と日本人の先生。
やがて日本人の先生は「ノートを書いている人は、まだそのまま書いていいですよ。終わった人はクイズに答えましょう」
ネイティブの先生が教室内にある物について“have”を使って表すので、それを当てます。ちょっと難しいクイズ。正解を答えた子どもを、先生は大いに誉めました。
45分の授業時間もあとわずか。残りの時間で教科書の会話文をみんなで音読。長めの会話文ですが、よく読めていました。
〜質が高くメリハリある授業・子どもの意欲も高い
授業はメリハリがあり、話す・聞く・音読・書く、それぞれの学習が45分のなかでバランスよく行われます。教える内容は精選され、質の高い授業でした。子どもの活動を多く取り入れながら、集中をとぎらせることなく進められていたのも印象的です。
高学年の英語は中学での英語学習を意識した指導が行われており、学習レベルもかなり進んでいることがわかります。ノートを取る時間も十分確保されていました。
子どもたちの学ぶ意欲も高く、真面目に授業に取り組んでいます。語学習得に最も大切と言われる積極性や活発さが、授業態度にはっきりと現れていました。
もう一つ印象に残ったのは教室の形です。黒板に対して縦長のスペースの教室が一般的ですが、川村小学校では、黒板に向かって横長の教室です。理由を学校に聞いてみると、「すべての子どもたちができるだけ黒板に近いように横長にした」とのこと。その分黒板がよく見えるし、授業に集中しやすくなります。先生の目も後ろまで行き届きやすくなります。

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