さとえ学園小学校
「全学年1人1台iPad」導入 ICTの活用と豊かな体験でリーダーを育成
さとえ学園小学校は、豊かな教育施設を有効に活用し、国内外でリーダーとして活躍できる人材の育成を目指しています。2019年度から校長に就任された小野田正範先生、進路入試センターの鑓水忠孝先生、カリキュラムマネージャーの山中昭岳先生に、全学年ひとり1台に導入されたiPadの活用や異学年交流などについてお話を聞きました。
校長 小野田正範先生のお話
先を見越して求められる教育を実現
成長の機会となる異学年交流
カリキュラムマネージャー 山中昭岳先生のお話
iPadを活用して基礎学力を定着
レベルアップ型ルールでスキルとモラルを習得
進路入試センター 鑓水忠孝先生のお話
恵まれた施設を活用した様々な「体験型教育」
放課後の「複合型教育」を取材しました
正課授業との相乗効果で伸ばす「複合型教育」
校長 小野田正範先生のお話
先を見越して求められる教育を実現
成長の機会となる異学年交流
カリキュラムマネージャー 山中昭岳先生のお話
iPadを活用して基礎学力を定着
レベルアップ型ルールでスキルとモラルを習得
進路入試センター 鑓水忠孝先生のお話
恵まれた施設を活用した様々な「体験型教育」
放課後の「複合型教育」を取材しました
正課授業との相乗効果で伸ばす「複合型教育」
校長 小野田正範 先生
さとえ学園小学校校長 小野田正範先生のお話
先を見越して求められる教育を実現
本校では、感性や想像力といった学力以外の力も伸ばしていけるように、「複合型教育」をはじめ、水族館やプラネタリウムを活用した「ほんもの体験」など、様々なプログラムを実施しています。よい成果が出ているものであっても、それでよいと満足することなく、それらをさらに進化させていきたいと考えています。21世紀は変化の激しい時代となるでしょう。前年踏襲は後退と考え、すべてのことに対して前年度の取り組みを見直して、今の子どもたちに合うよりよいやり方や新しいものを取り入れていくことが重要です。昨年9月には、「iPadを全学年にひとり1台」を実現させました。2019年度の1年生は、新学期からiPadを使い始めています。AI技術が進む中で、これから求められる教育の姿も変わっていくでしょう。求められる教育を実現するためには、先を見越して、ICTなどのさらなる活用方法を見いだしていくことが必要です。一方で、社会的スキルを身につけるためには、集団の中で様々な体験をすることも必要となります。個の力も伸ばしつつ、人との関わりの中で協働する力を身につけていくことを目指して、よりよい学校づくりに力を注いでいきます。
成長の機会となる異学年交流
本校では、国内外で活躍できるリーダーとなる人材の育成を目指し、基礎学力の上に立つたくましく生き抜く力や他人のために使える力など、人間的な部分を様々な行事や体験活動の中で培っていきます。近年は、少子化に伴って一人っ子の家庭も増え、家庭では大人としか関わらないという子どもも多くなりました。そのような中で、上級生と下級生のつながりは非常に大切だと考え、異学年が交流する機会を多く作っています。
例えば、毎日の「縦割り清掃」です。6年生が下級生に指示を出して、みんなで協力して掃除をします。先日の校外学習では、1年生と2年生が一緒に鉄道博物館へ行きました。2年生は去年の経験を活かして、1年生を上手にリードします。機会が与えられれば、子どもは成長するのです。1年生の案内役をした2年生は、大きく成長していました。そして、2年生の行動を見ていた1年生は、来年には案内役へと成長していきます。総合的な学習の時間には、水族館館長の代わりに5年生が近所の幼稚園児の案内をしたり、宿泊学習(3~4年生)や「さとえフェスタ」などの行事でも、異学年が交流する機会を作っています。
例えば、毎日の「縦割り清掃」です。6年生が下級生に指示を出して、みんなで協力して掃除をします。先日の校外学習では、1年生と2年生が一緒に鉄道博物館へ行きました。2年生は去年の経験を活かして、1年生を上手にリードします。機会が与えられれば、子どもは成長するのです。1年生の案内役をした2年生は、大きく成長していました。そして、2年生の行動を見ていた1年生は、来年には案内役へと成長していきます。総合的な学習の時間には、水族館館長の代わりに5年生が近所の幼稚園児の案内をしたり、宿泊学習(3~4年生)や「さとえフェスタ」などの行事でも、異学年が交流する機会を作っています。
カリキュラムマネージャー 山中昭岳先生のお話
iPadを活用して基礎学力を定着
プログラミングの授業は、正課ではプログラミング的思考の育成、複合型教育ではスペシャリストの育成を目指しています。子どもたちは授業の中で、プログラムはきちんとした順序で伝えないと動かないことを体験。そこを理解した上で、論理的思考とは順序立てて伝えることが大切だということを身につけていきます。 数年前から検証を重ねた上で、「iPadを全学年にひとり1台」を実現させました。現在は、宿題として人工知能型教材「Qubena(キュビナ)」や自主学習を促す「スタディサプリ」なども活用しています。今後は、ポートフォリオを使った「ふり返り」もさらに充実させて、子どもたちが自分で宿題を選んで学べるようにしていくことが目標です。AI技術を活用して学力の定着ができるように、忘却曲線に合わせたリマインド機能を付けてもらうという計画も進んでいます。例えば、間違えた問題に対してはすぐにもう一度問題を解く、一度覚えたものでも忘れた頃にもう一度問題を解くことで定着率が上がるというデータがあります。そういったデータをもとに、個別対応のリマインド機能を活用することができれば、基礎学力の定着率が高まり、教員は別の部分に力を注ぐことができるようになるのです。答えがわからない課題をみんなで解き合うことをメインに、全世界につながっているツールとしてiPadを活用する時間が持てるようになっていきます。問題を解決するためのツールとして、iPadなどのICTを使いこなせる人材の育成を目指します。
レベルアップ型ルールでスキルとモラルを習得
子どもたちがiPadを使用するにあたっては、スキルだけでなくモラルに関しても教えていくことが必要になります。そこで、保護者や教員のニーズを反映させて、レベルアップ型のルールを作りました。本校オリジナルのルールで、児童会のアイデアも取り入れています。レベルに応じて、iPadの壁紙がグリーン、ブルー、ゴールドに変わります。最初は全員初心者マークのグリーンです。スキルとモラルのテストをクリアするとブルーに上がれますが、第1回のテストで上がれたのは、5年生6人だけでした。ゴールドになると、画面のロックが指紋認証で解除できるようになるなどの特典があるので、子どもたちは「早くゴールドになりたい!」と言っています。今は、「YouTubeを見てもいいですか?」などと聞いてきますが、ゴールドになる頃には、必要なもの、見てはいけないものを自分で選べるようになっているはずです。
スキルについては、写真を編集してアップロードできるか、スペースで区切って検索できるか、検索したものをどれだけ要約して書けているかなどをチェックしていきます。モラルについては、誰が発信しているかを確認すること、そのページにある絵や写真を勝手に使ってはいけないこと(著作権の問題)なども学んでいきます。使用に関するルールもしっかり決めてあり、休み時間や登下校中などのiPadを使ってはいけない時間に使っていたら、ブルーには上がれません。自己評価のほか、友達との相互評価、教師からの評価もあり、相互評価に関しては悪いところではなく、いいところを見つけてあげるとポイントになる仕組みです。一方で教員たちは、改善すべき部分をしっかりチェックする役割を担っています。iPadを通して、自分をコントロールする力を身につけることもねらっています。スキルが高い児童ほど、大人が想像している範囲を超えた利用の仕方をすることがあります。そのような場合も、頭ごなしに「ダメ」というのではなく、またただの反省文ではなく、みんなのためになるレポートのような役割として書かせるなど、才能の芽を摘まないように指導する方法を試行錯誤中です。公立校でも取り入れられるモデルになれるような、ICT活用の仕組み作りを目指しています。
スキルについては、写真を編集してアップロードできるか、スペースで区切って検索できるか、検索したものをどれだけ要約して書けているかなどをチェックしていきます。モラルについては、誰が発信しているかを確認すること、そのページにある絵や写真を勝手に使ってはいけないこと(著作権の問題)なども学んでいきます。使用に関するルールもしっかり決めてあり、休み時間や登下校中などのiPadを使ってはいけない時間に使っていたら、ブルーには上がれません。自己評価のほか、友達との相互評価、教師からの評価もあり、相互評価に関しては悪いところではなく、いいところを見つけてあげるとポイントになる仕組みです。一方で教員たちは、改善すべき部分をしっかりチェックする役割を担っています。iPadを通して、自分をコントロールする力を身につけることもねらっています。スキルが高い児童ほど、大人が想像している範囲を超えた利用の仕方をすることがあります。そのような場合も、頭ごなしに「ダメ」というのではなく、またただの反省文ではなく、みんなのためになるレポートのような役割として書かせるなど、才能の芽を摘まないように指導する方法を試行錯誤中です。公立校でも取り入れられるモデルになれるような、ICT活用の仕組み作りを目指しています。
進路入試センター 鑓水忠孝先生のお話
恵まれた施設を活用した様々な「体験型教育」
校内には、水族館やプラネタリウム、陸上トラックのあるグラウンド、キッズファーム(学校農園)などがあり、様々な体験ができる環境が整っています。広いグラウンドは、子どもたちが明るくのびのびと育つ源です。卒業生が作ったビオトープは、まだ完成していませんが、子どもたちは興味を持ってよく遊びに来ています。卒業生が残したものを引き継いで、さらに発展させて行く予定です。5~6年生は生態系ピラミッドなどもわかっているので、設計図を考えます。3年生は、ビオトープとは何か、何があれば生き物が住めるのかなど、自分たちが何をしたらよいのかを考えたりしています。
また、5年生は米作り体験も行っており、田植えから途中の水の管理なども含めて、収穫して食べるまでのすべてを体験。自然体験以外にも、5年生ではKeynote(キーノート)を使ったプレゼンテーションなども行っています。まずはグループ内で個人発表をして、次にグループごとに全体に向けて発表するという流れで、将来、企業などで求められる力を育む体験もしていきます。
また、5年生は米作り体験も行っており、田植えから途中の水の管理なども含めて、収穫して食べるまでのすべてを体験。自然体験以外にも、5年生ではKeynote(キーノート)を使ったプレゼンテーションなども行っています。まずはグループ内で個人発表をして、次にグループごとに全体に向けて発表するという流れで、将来、企業などで求められる力を育む体験もしていきます。
放課後の「複合型教育」を取材しました
正課授業との相乗効果で伸ばす「複合型教育」
同校では、正課授業と放課後の主体的学びの相乗効果で可能性を伸ばす「複合型教育」を
日本で初めて実施。開校以来、様々な学習プログラムを提供し、その多くは正課授業の教員が担当しています。今回は、学習プログラムの「code grounds」「えいごenable Lepton」、情操教育プログラムの「アート&クラフト 3D&CANVAS」「さとえ道場 空手M・S・B」を取材しました。
「code grounds」(プログラミング講座)が行われていたのは、ラーニングコモンズと呼ばれるスペース。机がホワイトボードにもなるこのスペースでは、高学年になるとスタンディングミーティングなども行っています。「code grounds」は、正課授業の中で触れるプログラミング教育をさらに推し進め、ロボットを動かしたり、アプリでゲームを作ることを目指す講座です。この日取材した低学年の講座では、先生はあえてやり方を説明せずに、「イモ虫を動かす」プログラミングに取り組ませていました。スクリーンには1匹のイモ虫が動く様子が映し出されており、児童たちはそれを見ながら、試行錯誤してプログラミングしていきます。見本通りに動かしている子、見本よりたくさんのイモ虫を動かしている子、見本よりイモ虫がゆっくりと動いている子など、自分なりに考えてイモ虫を動かしていました。
「えいごenable Lepton」はとても人気があり、この日は3つの教室を使用。子ども英語教室Lepton(レプトン)の教材を使って、canやwhoなどの疑問文などに取り組む児童もいました。同校では、1年生から英語を正課とし、ネイティブ教員と日本人教員によりすべて英語で授業を進行。ネイティブ教員とコミュニケーションをとることに重きをおいた授業が、習熟度別に進められています。
「code grounds」(プログラミング講座)が行われていたのは、ラーニングコモンズと呼ばれるスペース。机がホワイトボードにもなるこのスペースでは、高学年になるとスタンディングミーティングなども行っています。「code grounds」は、正課授業の中で触れるプログラミング教育をさらに推し進め、ロボットを動かしたり、アプリでゲームを作ることを目指す講座です。この日取材した低学年の講座では、先生はあえてやり方を説明せずに、「イモ虫を動かす」プログラミングに取り組ませていました。スクリーンには1匹のイモ虫が動く様子が映し出されており、児童たちはそれを見ながら、試行錯誤してプログラミングしていきます。見本通りに動かしている子、見本よりたくさんのイモ虫を動かしている子、見本よりイモ虫がゆっくりと動いている子など、自分なりに考えてイモ虫を動かしていました。
「えいごenable Lepton」はとても人気があり、この日は3つの教室を使用。子ども英語教室Lepton(レプトン)の教材を使って、canやwhoなどの疑問文などに取り組む児童もいました。同校では、1年生から英語を正課とし、ネイティブ教員と日本人教員によりすべて英語で授業を進行。ネイティブ教員とコミュニケーションをとることに重きをおいた授業が、習熟度別に進められています。