同志社国際学院初等部
国際バカロレアプログラムによる未来型教育
2011年に創立した同志社国際学院初等部。21世紀の新時代を生きる子どもたちにふさわしい教育を行っています。
豊かな自然と一体化した夢あふれる校舎、充実した施設。近鉄学研奈良登美ヶ丘駅及び JR 祝園駅/近鉄新祝園駅より直通路線バスも運行し、子どもたちは安全に、のびのびと学んでいます。
同志社国際学院初等部の教育について、学校にお話をうかがいました。
■同志社国際学院初等部 教頭先生 のお話
国際的な視野をもつ人を育成するIBプログラム
本校の教育の最大の特色の1つは、子どもたちがIB(国際バカロレア)プログラム*によって学ぶことです。このプログラムのめざすものは、国際的な視野をもった人の育成です。言葉や文化の壁を超えた探究心や思考力、コミュニケーション力、思いやり、協調性などを、IBプログラムの学びを通して身につけます。
IBプログラムは、10のラーナープロファイル(学習者像)を掲げています。
ここに国際バカロレアがめざす人間像が表されています。
Inquirers 好奇心をもって探求し、学びを楽しむ人
Knowledgeable 幅広く、バランスのとれた知識をもつ人
Thinkers 批判的・創造的な思考ができる人
Communicators 他者とコミュニケーションできる人
Principled 公平・公正で責任感のある人
Open-minded 他者の視点や価値観等にオープンな人
Caring 他者に対して思いやりのある人
Risk-takers 未知のもの、不確かなものに対して挑戦する人
Balanced 知的、身体的、精神的にバランスのとれた人
Reflective 自己の学びや経験を振り返ることのできる人
*国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラム。同志社国際学院初等部では、初等教育課程プログラム(PYP)の認定校となることをめざしています。
バイリンガル教育と母語基盤型教育
次に、本校のカリキュラムについて具体的に紹介しましょう。IBプログラムには、「探究の単元」という授業があります。この授業では、教科の枠にとらわれずに、教科を横断しながら、物事を広く深く「探究」します。
「探究の単元」の授業は、全学年で設置しています。毎日たっぷりと行う「探究」の学習が、カリキュラムの中心になります。
一般の小学校に設置されている「生活科」「社会科」「理科」「総合的な学習の時間」は、時間割の中にはあらわれてきません。これらは「探究」の学習のなかで学んでいきます。授業は日本語(日本人教員)と英語(ネイティブ教員)の両方で教えます。
英語の使用比率は約50%
国語は、「日本語(にほんご)」の授業で学びます。この授業は日本語で行います。算数/Mathは週約7時間という充実した時間数を確保しています。うち3時間は英語で教え、あとの約4時間は日本語で教えます。
「English」の授業では、英語を学びます。本校では、英語の既習者と初学者の両方の入学を受け入れています。帰国子女も通っていますし、ずっと日本で育ってきた一般の子どももいますが英語既習者と初学者を分けることはしません。また、リーディングやフォニックスなど基礎的な力を身につけて授業についていくことができるようにするためにランゲージサポートを取り入れ、一人ひとりが自主的に学ぶ力をサポートしています。
「English」の授業と、「Art(図画工作)」「Music(音楽)」「P.E.(体育)」の4教科は、ネイティブ教員が英語で教えます。週1時間の「宗教」の授業は、日本語で行います。
「探究」の授業のなかで、教科の学びも行う
たとえば、6つの学習テーマのなかに、「How we organize ourselves」というテーマがあります。社会のなかの「組織」について理解を深め、自分の意識を高めることがテーマのねらいです。
このテーマにもとづいて、4年生では消防署を見学したり、災害や事故防止のためにどのような活動をしているのかを調べたりします。こうした取り組みを通して、「組織」の目的や、社会的な課題を「組織」として解決することの大切さをも学びます。
さらに、学んだことをもとに「新聞」をつくったり、発表したりします。この活動を通して、目的に応じて要点を整理し、わかりやすく文章にまとめる力や、自分の言いたいことを相手に正確に伝える力を養います。これは、「国語科」の領域の学びにもつながっていきます。これらの学習を通じ私達に何ができるのか考え、今できる事を実践していきます。
また、学年が進むにつれ、日本語と英語の両方の力が向上するため、新聞づくりや発表は、ときに応じて日本語を使ったり、英語で書いたり、または両方用いたりします。すると、「国語」や「英語」の力をさらに伸ばすことができるのです。
自ら考え自ら解決する・友だちと協力する
1年生は「私たちは自分たちをどう組織しているか」について考え、このテーマにもとづいて、学校のなかのいろいろな部署や、そこで活動する人たちの「役割」について学びます。校長室を訪ねて校長先生と会ったり、保健室や事務室を訪ねたり。子どもたちは学校中を巡りながら「役割」というものを知ります。この学びは、1年生の「生活科」の「学校たんけん」の学習にもつながっています。
このように、「探究」の授業では、課題について子どもが自ら考え、自ら調べ、解決していきます。グループでの活動や個別学習、全体学習を重視します。教師が一方的に教え込むのではありません。教室のつくりも「探究」の授業に合わせています。一般の学校の教室のように子どもたちが一斉に黒板を向いて座るのではありません。グループで友だち同士が向かい合って座ります。
そして、与えられた課題について、グループで討論し、疑問を見出す。iPadで検索したり、図書室で調べたりして、自分たちで答えを探す。それをまとめて発表する。さらに、各自で興味あることを調べ、発表し、共有する活動も行います。
本校の図書館は「探究」に対応する図書や洋書、英字新聞・日本の新聞、雑誌など充実しています。3人の司書が常駐し、子どもにアドバイスします。子どもたちにとって、図書館は馴染みの場所です。図書を調べることも慣れています。
体験学習もふんだんに
本校では、体験を通した学びも大切にします。「探究」の授業に関連して、社会見学や野外観察、宿泊学習などのフィールドワークをたくさん行います。専門家からも本格的に学びます。
6つの学習テーマのなかに、「Sharing the Planet」というテーマがあります。地球の環境問題と共生について理解し、意識を高めることがねらいです。酸性雨や絶滅危惧種など、学年に応じてさまざまな課題を学びます。本校の校舎は周囲の自然環境とのつながりを大切にし、学校敷地内には中庭があります。ここにはいろいろな生き物がいて、「Sharing the Planet」について実地に学ぶのにうってつけです。ときにはカエルの研究を行っている大学の先生といっしょに、カエルを探しに野外へ出かけることもあります。
2年生は「Sharing the Planet」の学びとして、琵琶湖に宿泊し、外来魚のブラックバスの問題を調べます。4年生は、「Sharing thePlanet」にもとづいて、「水」を探究します。自然豊かな京都の美山を訪ね、トレッキングして水源をたどります。さらに、川の行きつく先である宮津港まで下り、そこで漁業体験をします。また、林業を学んだり、茅葺の家を見学したり、現地でしかできない体験学習を行います。
オープンスクールで6年生の「Exhibition」
「Exhibition」では、全員の子どもが発表できるようブースをつくります。以前は6年生の保護者だけを招いて発表していましたが、現在ではこの日はオープンスクールとして、一般の方々にもブースを回ってもらい、本校の子どもたちの「探究」の成果を見てもらっています。
10の学習者像に照らして評価
成績の評価も、10の学習者像に照らして考えます。年2回の担任との面談では、これらの学習者像にどのくらい近づくことができたか、子どもたち一人ひとりに問いかけます。 成績表は「学びの記録」として、日本の一般的な小学校と同じように教科ごとの評価を出します。
世界へ向かって羽ばたく子どもを育成
また何より、国際バカロレアが描く理想の人間像は、同志社の教育理念と一致する点がたくさんあります。 本校はこれからもIBプログラムによる教育をさらに向上させ、世界へ向かって羽ばたく子どもを育成していきます。