はつしば学園小学校
新しい英語教育カリキュラムがスタート
2018年度より新しくスタートした英語教育や、中学合格実績について校長先生にお話をうかがいました。
はつしば学園小学校 校長 加藤 武志 先生のお話
校長 加藤 武志 先生
はつしば学園小学校 校長 加藤 武志 先生のお話
英語の4技能の育成をめざして
こうした最高の環境のうえに、さらなる強化をめざすのが「聞く・話す・読む・書く」の4技能の育成です。そのために、2018年度の入学生より、新しい英語教育カリキュラム「GrapeSEED」*をスタートさせました。
GrapeSEEDは英語を第二言語として学ぶ子どものために開発された教育法で、母語を覚えるように自然に、段階的・計画的に4技能の力を身につけることができるのが大きな特長です。学ぶ順序も母語の習得と同じく、「聞く」ことから始まり、話す・読む・書くの順で進めます。西日本の小学校では、本校がGrapeSEEDの初導入となりました。
*GrapeSEED:幼児英語教育のノウハウと、米国の言語学者や教育学者によって開発された英語教育カリキュラム。グレープシティ株式会社(日本)が販売し、日本・アジアを中心に世界6万人の子どもが活用し英語を学んでいます。
GrapeSEEDで週4時間の授業
授業時間数も、GrapeSEED のカリキュラムに合わせて変更し、2018年度の新1年生から、これまでの週2時間を4時間に増やしました。その分、他教科の授業を減らしてはいません。全体のカリキュラムを工夫することで対応しました。さらに、GrapeSEEDの指導法を身につけたネイティブ教員も新しく迎え、授業は従来通り1クラスを2分割して、オールイングリッシュで教えています。日本人教員もこれまでと同様にサポート役となり、子どもたちを見守ります。
GrapeSEEDのテキストは、1年生から日常会話の短文が出てきますが、頻出語を中心とする文章です。たとえば、I , and , the , you , to , a , that , it , of , in など。日常会話の多くは頻出語で成り立っており、それをネイティブ教員との会話で習得していきます。6年間の系統的なカリキュラムによって同じ単語や重要表現を繰り返し練習し、脳内に定着させながら、少しずつ新しい語彙や表現を増やしていくのです。テキストに付属するCDとDVDを使って、家庭でも練習することができます。具体的に授業では、テキストに対応する紙芝居やカード、歌などを用いて、子どもが楽しく自然に学べるようにします。そのねらいは、まず「聞いてわかる」「正しく発音する」というオーラルコミュニケーションで最も重要な基礎をしっかりと身につけること。そのなかで、子どもは頻出語の読みやそれぞれの語のつながりなども少しずつ理解していきます。読む能力や書く能力など国語的な学習も、学年をふまえて無理なく進めますが、大切にするのはネイティブ教員とのコミュニケーションです。
活動の場を世界へと広げる人に
本校が一貫して大切にしているのは、英語でのコミュニケーション力を身につけ、積極的に異文化交流をする意欲を育てることです。そして、将来は留学や就職など、自分の活動の場を海外まで広げようとする人になってほしいと考えています。この方針にもとづき、国際交流として行っているのが6年生の修学旅行や、3年生以上の希望者対象の海外語学研修です。
立命館アジア太平洋大学で国際交流
修学旅行では、子どもたちは立命館アジア太平洋大学を訪ね、留学生と交流します。6年間で培った英語のコミュニケーション力を発揮し、各国の留学生と心の交流をする感動的な体験です。海外語学研修では、カナダやニュージーランドで短期留学型プログラムを実施しています。こうした国際交流も、GrapeSEEDで学ぶことで、さらに実り大きいものになるはずと期待しています。
国の調査から、3カ月以上の海外研修や留学をする高校生は国公私立を含め、全体に上昇していることがわかっています。また、国はトビタテ留学JAPANプログラムをスタートし、積極的に青少年の留学を支援しており、現在は多くの若者に海外で学ぶチャンスが広がっているのです。だからこそ、本校が築いてきた国際交流や新しい英語教育がますます重要になります。
教育方針は「個性を大切に」
本校にはインターナショナルの幼稚園からの入学者もいますし、小学校で初めて英語を習うという入学者もいます。
GrapeSEEDではそうしたレベル差も想定されているので心配はいりません。ネイティブ教員はすべての子どもとの関係づくりを大切にしており、これも教育のうえでとても大事なことです。
また、本校では「個性を大切に」を教育方針とし、みんなが得意分野を持っていて、それを互いに発揮し、尊重し合うことをつねに子どもたちに教えています。多様な環境のなかで学ぶことが大切です。それに、何より子どもの吸収力にはとても高いものがあります。
授業に加えて朝の15分の英語学習や、4年生以上の希望者対象のレシテーションコンテストなどさまざまな機会を通して、子どもたちは大人よりはるかに速く、たくさんのことを学んでいくのです。
過去最高の合格実績を更新
合格実績が向上している背景には、本校の子どもたちが全国の子どもに比べて圧倒的に「学校が楽しい」と感じ、自己肯定感や教員との信頼関係がしっかりと築かれていることが挙げられます。そのことが国による全国学力・学習状況調査から明らかになりました。調査は6年生が対象です。18年度の卒業生が6年生のときに受けた調査の結果を紹介しましょう。
「学校に行くのは楽しい」と答えた子どもは全国平均55.5%に対して本校は80%。「自分には、よいところがあると思う」に当てはまると答えたのは全国平均38.6%に対して本校52.9%。「先生はあなたのよいところを認めてくれていると思う」と答えたのは全国平均47.3%に対して本校77.6%。また、学力テストでも、国語や算数は知識・活用力ともに全国平均を上回りました。
「きく」から始まるはつ小の学び
調査から判明した全国の子どもの状況をふまえ、各専門家がさまざまに分析していますが、そのなかで「活用力」の向上には「他人の意見を聞く姿勢」を育てることが大事だという声が上がっています。
本校では「個性を大切に。『きく』から始まるはつ小の学び」をモットーとして、教師と子ども、子ども同士が「聴く」ことを大事にして信頼関係を築いています。各教科の授業で重視するのは、ペアやグループでの学習を多く取り入れ、互いの言葉を聴き合い、課題解決に向けていっしょに頑張ること。それによって子どもたちは高め合い、達成感を味わい、協力することの大切さを学びます。教師の役割は、子どもたちの活動をよく見て、一人ひとりの「よさ」を積極的に認めることです。これらの取り組みが、子どもの自己肯定感を高め、学校生活や学びへの前向きな気持ちを育んでいるのです。
創立16年目を迎えた本校は、若い学校だからこそ、さまざまな新しい教育にチャレンジすることができます。これからも子どもの未来を見据えながら、よりよい教育を積極的に取り入れ、子どもとご家庭の多様なニーズに応える学校であり続けます。