奈良学園小学校
4-4-4制と小学校システムを両立し、20年後、豊かに活躍できる子どもを育成。
ICTの環境や、算数や英語の新カリキュラムなど、時代のニーズにあった新設校ならではの柔軟性のある取り組みと、学びの基本となる体づくりや豊かな心の育成を大切に学校運営を行っている奈良学園小学校。
創立から10周年を記念し、2018年にはオリジナルキャラクター「なとみん」のゆるキャラが誕生。
園児や児童の人気者になりました。学園をあげての運動会に登場したり、パンフレットなどに活用されたりするなど、学校生活を楽しく盛り上げてくれています。
社会の中でたくましく生きるために、小学校の間に身に付けておくべき力とはどのようなものでしょうか。また、それを可能にする具体的なプログラムとは……。梅田真寿美校長先生にお話をうかがいました。
奈良学園小学校 校長 梅田 真寿美 先生のお話
校長 梅田 真寿美 先生
奈良学園小学校 校長 梅田 真寿美 先生のお話
社会で活躍するために必要な「目に見えない力」に着目して
奈良学園小学校では、12年間を「4-4-4」として区切り、
Primary…小学1年生~4年生
Middle…小学5年生~中学2年生
Youth…中学3年生~高校3年生
と、発達段階に応じた教育を展開しています。
小学5年生にあたるMiddleからは全教科で教科担任制を実施。国語・算数・理科・社会では定期考査も実施され、より深い学びや学び方そのものを身に付ける教育システムとなっています。この「4-4-4制」と6年間の小学校システムも同時に展開されており、例えば5年生からは小学校高学年としてのリーダーシップを発揮し、下級生から憧れの存在として自己肯定感が育まれています。また、中学校期に向けて制服やランドセル、教室の雰囲気がかわります。より前向きな気持ちにリセットするきっかけにもなっているそうです。
自己肯定感や自制心、やりきる力などの「目に見えない力(非認知能力)」を伸ばすことは、結果として学力の向上につながります。これらを小学校低学年から身に付けていくことで、自分の力を良い方向で活かせる力となるのです」と梅田校長先生は話してくださいました。
個に最適化した英語・算数のプログラムを導入して
奈良学園小学校ではどの授業においても「ことば」を通した学びを大切にしており、学力の基礎となる「話す・聞く・読む・書く」活動を意図的に取り入れています。また同時に小学校低学年から論理的な思考力を身に付けることが必要で、「答えのない問題に対して、自分なりの考え方を相手に伝わるように説明する力」として、これからの社会を生きていくときに求められる力につながっていきます、と梅田校長先生は話されています。
保護者からの要望が高い英語は、昨年度より新カリキュラムを導入。「フォニックス」「コミュニケーションベーシック」が、1~4年生ではそれぞれ週1時間計2時間の授業として実施されています。5・6年生になると「ABCグラマー」が週1時間、「コミュニケーションアドバンス」が週2時間、計3時間の授業が実施されます。また「個に応じた学び」が強化されており、全学年の英語で「ATR CALL BRIXシステム」が導入されました。「聞く・話す・書く・読む」の4技能を養うe-ラーニングシステムで、個別に能力を伸ばすことが可能です。保護者の方からも関心が高く、評価を得ています。
個に応じた学びは算数でも取り入れられています。2018年度より4年生から「リアテンダントシステム」が導入されました。1つの単元が終わるごとに独自の単元テストを実施。AIの要素を持つコンピュータが成績を詳細に分析し、個別の練習問題に取り組みます。
このシステムでは、例えば応用問題に正答していても、基礎問題でミスがあり、集中力にムラがあるなど、個々の課題や弱点を明確に指摘します。それによって自分の目標や課題を子どもたちが具体的に把握することが可能となるのです。このシステムのテストでは、難易度が異なる16種類の練習問題が用意され、本人に会ったものをAIが精査するのも特長です。教員は一人ひとりの状況をチェックしながら個別学習をサポート、それぞれの習熟度にあわせた学びができています。このシステムは教育事業を手掛ける企業が共同開発したもので、私立小学校では奈良学園小学校によって初導入されており、関係者からも注目されています。
また、2018年度から本格的にスタートしたプログラミング教育は、総合的な学習の時間を中心に他教科と関連性をもたせて実施。論理的思考を育むために、低学年では体験的に論理性を養い、中学年では実際にコンピュータを使ってプログラミングスキルを身に付けます。さらに高学年では、課題解決するために身に付けたスキルを論理的思考を生かして活用し、例えばペッパーが登場する学校紹介を作成するなどの学習を行っています。
AIにはない人としての強みを育てる
子どもたちはいろいろな方法で自分の思いを表現することを学び、また、自分の表現が生きる場所を持つことで豊かな感性を育んでいます。作品を他者と共有し、お互いに鑑賞しあうことで、子ども同士をつなぐ活動も実施しています。
1年に1度行われるPP・P尚志祭は、保護者の方にお越しいただき、群読や音楽の演奏、絵画や造形作品を展示など、学校生活のあしあとや学習成果を発表する会。子どもたちはこの日に向けて熱心に活動しており、感性豊かに表現する姿を保護者の方も楽しみにされているそうです。
非認知能力を高める多彩な活動
奈良学園小学校では、子どもの非認知能力を育むために多彩な活動を実施しています。学年の縦割り活動を大切にしているのもその一環で、全学年を15人程度のグループに分け、縦割りのメンバーで全校遊びや集会などを楽しみます。全学年の縦割り活動は学期ごとに1~2回行うほか、高学年や低学年、高学年と中学年、幼稚園児と低学年児童など、いろいろな組合せが日常的に行える行事が設けられているのも同じキャンパスで学んでいるからこそ。
最大の行事は幼稚園児から高校までの合同運動会です。同学園の名物行事として知られ、広い天然芝のグラウンドに一同が並ぶ姿は壮観。異学年が触れ合うことはリーダーシップやあこがれの気持ちを育むだけでなく、コミュニケーション力や協調性など、すべての子どもたちの非認知能力を養っていきます。
また、各学年で実施する宿泊学習などの体験学習も非認知能力を養うための大切な機会です。学校外のさまざまな人たちと触れ合いながら、自然体験や平和学習などを実施。事前・事後学習にも時間をかけ、宿泊中は毎日目的に向かう自分を振り返って「しおり」に書き残し、ポートフォリオとして自身の成長を振り返るために保存されています。今後自分の活動をまとめる取り組みは大学入試の時にも必要となってきます。12年一貫教育のなかで将来を見据えた取り組みが、小学校から実施されています。
まとめ
あわせて「これからの時代には個に応じた学びが必要とされる」というお話の通り、英語や算数など、習熟度に合わせた柔軟な取り組みが先駆けてスタートしており、学校としてチャレンジする姿勢が印象的でした。