奈良学園小学校
欠けた経験を補い、子どもの伸びしろを育てる。奈良学園小のアフターコロナの学び。
2023年度に創立16年目を迎えた奈良学園小学校。同校ではウィズコロナの時期には、ICTなどを駆使し、状況に合わせて教育を進化させてきました。この3年で得た経験をもとに、アフターコロナとなった2023年度にどのような教育を展開していくのか。校長の梅田真寿美先生に話しを伺いました。
奈良学園小学校校長 梅田真寿美先生のお話
•「体験と表現」の機会を大切に進める1年生
•関わり合いの大切さを知る2年生
•不足した運動経験を毎朝のストレッチで補う
•コロナ禍で得た新たな教育をよりアップデートしていく
•数学的思考力とスキルを養う高学年の算数指導
•中学生活のスムーズなスタートにつながる学び方の先取り
•まとめ
奈良学園小学校校長 梅田真寿美先生のお話
•「体験と表現」の機会を大切に進める1年生
•関わり合いの大切さを知る2年生
•不足した運動経験を毎朝のストレッチで補う
•コロナ禍で得た新たな教育をよりアップデートしていく
•数学的思考力とスキルを養う高学年の算数指導
•中学生活のスムーズなスタートにつながる学び方の先取り
•まとめ
校長 梅田真寿美先生
奈良学園小学校校長 梅田真寿美先生のお話
「体験と表現」の機会を大切に進める1年生
学校教育の現場はコロナ禍を経て、ようやく以前の風景を取り戻しつつあります。その状況にあって、梅田校長は「コロナ禍のせいで得られなかった経験は何かをしっかりと見ることが大切だ」と話します。
「文部科学省の調査でも、コロナ禍において様々な活動ができなかったことにより、成長に必要な人との関わりやいろんな経験が、子ども達には不足しているという結果が出ています。その不足が生み出す子ども達の課題は、目に見えない部分も合わせて、非常に大きいと思っています。そこをしっかりと見て、小学校の教育活動できちんと埋め合わせてあげることが、この先、子ども達が伸びていくことにつながります」。
そう考え、同校では、特に低学年での学びで「体験と表現」の機会を「これでもかというくらい」しっかりと入れていくとのこと。体験だけでなく、表現も大事にする理由について、1年生が入ってすぐに行われる学校探検を例に、梅田校長はこう説明します。
「最初は2年生が学校内を案内してくれ、次に休み時間などを使って、自分達だけで探検します。子ども達は探検して『面白かった』『こんなもの見つけた!』と教えてくれるのですが、低学年の子の場合、それらの経験や気持ちをすぐに忘れてしまうんですね。だから色々な体験をした後は、すぐに書いて残すことを大切にしています」。
その後のあさがおの栽培やザリガニ遊び、どろんこ遊びでも、子ども達は体験した後に書くという経験を積んでいきます。
「あさがおの葉が茂ってきた時には、『どんな形だった』『触ってみたらザラザラだった』『表面に毛が生えていた』などをしっかりと観察し、絵や文で残します。ザリガニと遊んだ後に図工でザリガニを描いてもらうと、本当に生き生きとした絵が並びます。子ども達は興味を持ったものを一生懸命見て、描いてくれます。図工の教員も『指で描いてごらん』など、絵の描き方を細やかにサポートしていきます。興味を持って観察したり、実際に触れてみたりすることは今後の学びへとつながる原体験となります。入学前に欠けていたそれらの体験を、低学年の間は特にしっかりと設定していきます」。
「文部科学省の調査でも、コロナ禍において様々な活動ができなかったことにより、成長に必要な人との関わりやいろんな経験が、子ども達には不足しているという結果が出ています。その不足が生み出す子ども達の課題は、目に見えない部分も合わせて、非常に大きいと思っています。そこをしっかりと見て、小学校の教育活動できちんと埋め合わせてあげることが、この先、子ども達が伸びていくことにつながります」。
そう考え、同校では、特に低学年での学びで「体験と表現」の機会を「これでもかというくらい」しっかりと入れていくとのこと。体験だけでなく、表現も大事にする理由について、1年生が入ってすぐに行われる学校探検を例に、梅田校長はこう説明します。
「最初は2年生が学校内を案内してくれ、次に休み時間などを使って、自分達だけで探検します。子ども達は探検して『面白かった』『こんなもの見つけた!』と教えてくれるのですが、低学年の子の場合、それらの経験や気持ちをすぐに忘れてしまうんですね。だから色々な体験をした後は、すぐに書いて残すことを大切にしています」。
その後のあさがおの栽培やザリガニ遊び、どろんこ遊びでも、子ども達は体験した後に書くという経験を積んでいきます。
「あさがおの葉が茂ってきた時には、『どんな形だった』『触ってみたらザラザラだった』『表面に毛が生えていた』などをしっかりと観察し、絵や文で残します。ザリガニと遊んだ後に図工でザリガニを描いてもらうと、本当に生き生きとした絵が並びます。子ども達は興味を持ったものを一生懸命見て、描いてくれます。図工の教員も『指で描いてごらん』など、絵の描き方を細やかにサポートしていきます。興味を持って観察したり、実際に触れてみたりすることは今後の学びへとつながる原体験となります。入学前に欠けていたそれらの体験を、低学年の間は特にしっかりと設定していきます」。
1年生の学校探検
ザリガニの観察
アサガオの観察
関わり合いの大切さを知る2年生
2年生になると、子ども達の探検も学校の外へと広がっていきます。12月には、近隣の店や郵便局などをグループで訪問する「まちたんけん」が行われます。この体験では店の人にインタビューし、その内容をまとめた「たんけん新聞」を作ります。その新聞を見ると同じ店の記事でも一人ひとりの視点が違うことが一目瞭然だそう。
梅田校長は「子ども達は『人によって見る所が違うんだな』と感じ、記事について話し合うことで互いに学び合っていきます。その経験は、一人ひとりの中に『話し合いは大切だ』という価値観を根付かせていくことにもつながります」と指摘します。
また、2年生の終わりには「おもちゃ研究所」という取り組みを設定しています。この取り組みでは、自分達でおもちゃを作り、幼稚園児や1年生を招待して遊んでもらいます。年下の友達に楽しんでもらうために『ルールにどんな工夫がいるか』『おもちゃを作り変える必要はないか』など、子ども達同士で知恵を出し合ってもらいながら、進めていくのだそう。
「皆で力を合わせて新しいものを作り出していく経験を通して、人と関わり合うことの大切さを知ります。そこから、集団内での自分の役割を考える姿勢が子ども達に見られるようになります。また、活動の終わりには年下のお友達からお礼ももらえます。そのことは子ども達に満足感や自己肯定感を与えてくれます。いわゆる非認知能力と呼ばれる目に見えない力が、この経験を通して育まれていきます」。
このような満足感のある経験をした後、2年生の総まとめとして自分の生まれた時から今までの成長を振り返りまとめる取り組みを行います。
「子ども達は自分のどんな所が成長したかをしっかりと言えたり、書けたりするようになっています。『わかった』『できた』『やってみたい』という言葉が子ども達から出てくるのを見ると、学力とはペーパーテストの結果だけではなく、こういう気持ちがあって、そこに書く力や学んだことが一緒になって初めて学力と呼ぶのだと感じます」。
梅田校長は「子ども達は『人によって見る所が違うんだな』と感じ、記事について話し合うことで互いに学び合っていきます。その経験は、一人ひとりの中に『話し合いは大切だ』という価値観を根付かせていくことにもつながります」と指摘します。
また、2年生の終わりには「おもちゃ研究所」という取り組みを設定しています。この取り組みでは、自分達でおもちゃを作り、幼稚園児や1年生を招待して遊んでもらいます。年下の友達に楽しんでもらうために『ルールにどんな工夫がいるか』『おもちゃを作り変える必要はないか』など、子ども達同士で知恵を出し合ってもらいながら、進めていくのだそう。
「皆で力を合わせて新しいものを作り出していく経験を通して、人と関わり合うことの大切さを知ります。そこから、集団内での自分の役割を考える姿勢が子ども達に見られるようになります。また、活動の終わりには年下のお友達からお礼ももらえます。そのことは子ども達に満足感や自己肯定感を与えてくれます。いわゆる非認知能力と呼ばれる目に見えない力が、この経験を通して育まれていきます」。
このような満足感のある経験をした後、2年生の総まとめとして自分の生まれた時から今までの成長を振り返りまとめる取り組みを行います。
「子ども達は自分のどんな所が成長したかをしっかりと言えたり、書けたりするようになっています。『わかった』『できた』『やってみたい』という言葉が子ども達から出てくるのを見ると、学力とはペーパーテストの結果だけではなく、こういう気持ちがあって、そこに書く力や学んだことが一緒になって初めて学力と呼ぶのだと感じます」。
2年生の町探検
2年生のおもちゃ研究所
不足した運動経験を毎朝のストレッチで補う
以前より、身体作りに力を入れている奈良学園小学校。子ども達はストレッチやビジョントレーニングを毎朝行い、体づくりに励んでいます。その成果を測るべく、同校では毎年、全学年で静止立位状態のチェックを行っているといいます。
梅田校長は「このチェックは大学のリハビリテーション学科と連携して行います。専門的な測定機器を使って、子ども達の身体の状態について種々のデータを取っていますが、今年で3年目となり、データも積み重なってきました。データから子ども達の身体でどの部分が弱いのかを抽出して、それを毎朝のストレッチにフィードバックしています」と説明します。
上記の取り組みのほか、オープンスペースやピロティに鉄棒などの運動器具を設置し、雨の日やすきま時間に子ども達が気軽に運動できる環境も整えています。
「特にコロナ禍で運動が不足し、身体の状態が整っていない子達が増えたと感じています。それを日々の運動で埋め合わせていきたいと考えています。ほんの少しの時間ですが、毎日積み重ねることで体幹が鍛えられ、正しい姿勢が保てるようになります。そのことにより子ども達の集中力や持続力が向上し、学びへ向かう姿勢が変わります。これからも続けていきたい大切な取り組みのひとつです」と梅田校長は熱く語ります。
梅田校長は「このチェックは大学のリハビリテーション学科と連携して行います。専門的な測定機器を使って、子ども達の身体の状態について種々のデータを取っていますが、今年で3年目となり、データも積み重なってきました。データから子ども達の身体でどの部分が弱いのかを抽出して、それを毎朝のストレッチにフィードバックしています」と説明します。
上記の取り組みのほか、オープンスペースやピロティに鉄棒などの運動器具を設置し、雨の日やすきま時間に子ども達が気軽に運動できる環境も整えています。
「特にコロナ禍で運動が不足し、身体の状態が整っていない子達が増えたと感じています。それを日々の運動で埋め合わせていきたいと考えています。ほんの少しの時間ですが、毎日積み重ねることで体幹が鍛えられ、正しい姿勢が保てるようになります。そのことにより子ども達の集中力や持続力が向上し、学びへ向かう姿勢が変わります。これからも続けていきたい大切な取り組みのひとつです」と梅田校長は熱く語ります。
コロナ禍で得た新たな教育をよりアップデートしていく
コロナ禍では多くの学校で宿泊行事が中止となりました。奈良学園小学校も例外ではありません。しかし、同校では単に中止とした訳ではなく、ICTなどを使い、実際に行くのと遜色がないほどの学びを提供しました。
例えば、6年生で実施するハワイ研修旅行。通常はハワイを訪れ、現地の姉妹校・メリノール校の子ども達とペアを組み、様々な体験を行います。しかし、現地を訪れることが叶わなかったこの2年は、オンラインで学校紹介をし合ったり、自分で作ったプレゼントをペアの子に国際郵便で送ったり、メールでやりとりするなどして、交流を続けてきたのだとか。
「コロナ禍以前より、先方とやりとりをする頻度が増えました。実際に行って会うことはできませんでしたが、やりとりを重ねる中で、英語でうまく意志疎通するにはどうしたら良いかということを、現地に行った時と同じように子ども達は感じることができたのではないでしょうか」。
また5年生での広島宿泊学習も、ICTを活用したことで非常に学びが深まったと梅田校長は話します。
「現地の団体の方にオンタイムでZoomを通して平和公園や被爆建造物などを案内してもらったり、オンライン灯籠流しなども体験したりしました。2022年度は、このICTを活用した学びを1学期にした後、2学期には実際に現地を訪れました。すると、現地に行ってから学びが格段に深まったんですね。これも事前に知識を仕入れ、何を知りたいかという目的を持った状態で訪れているからこそ。ガイドの方からも子ども達の知識が豊富なことや、知っていることでもそれぞれのポイントに行くととても集中して見たり聞いたりする姿勢を褒めていただきました」。
広島での平和についての深い学びは、6年生でのハワイ研修旅行につながります。
「ハワイでは、パールハーバーや潜水艦ミズーリの見学にも行きます。日本とアメリカ両方の立場を理解した上で、自分達が平和というものをどう捉えて、そのために何ができるかを考えてもらいます。広島での平和学習が深まったことで、平和を自分事として考えるという学びをアップデートできると感じています。アフターコロナとなり、実際に現地に足を運べる環境となりましたが、ICTを活用した取り組みは続けていきます」。
例えば、6年生で実施するハワイ研修旅行。通常はハワイを訪れ、現地の姉妹校・メリノール校の子ども達とペアを組み、様々な体験を行います。しかし、現地を訪れることが叶わなかったこの2年は、オンラインで学校紹介をし合ったり、自分で作ったプレゼントをペアの子に国際郵便で送ったり、メールでやりとりするなどして、交流を続けてきたのだとか。
「コロナ禍以前より、先方とやりとりをする頻度が増えました。実際に行って会うことはできませんでしたが、やりとりを重ねる中で、英語でうまく意志疎通するにはどうしたら良いかということを、現地に行った時と同じように子ども達は感じることができたのではないでしょうか」。
また5年生での広島宿泊学習も、ICTを活用したことで非常に学びが深まったと梅田校長は話します。
「現地の団体の方にオンタイムでZoomを通して平和公園や被爆建造物などを案内してもらったり、オンライン灯籠流しなども体験したりしました。2022年度は、このICTを活用した学びを1学期にした後、2学期には実際に現地を訪れました。すると、現地に行ってから学びが格段に深まったんですね。これも事前に知識を仕入れ、何を知りたいかという目的を持った状態で訪れているからこそ。ガイドの方からも子ども達の知識が豊富なことや、知っていることでもそれぞれのポイントに行くととても集中して見たり聞いたりする姿勢を褒めていただきました」。
広島での平和についての深い学びは、6年生でのハワイ研修旅行につながります。
「ハワイでは、パールハーバーや潜水艦ミズーリの見学にも行きます。日本とアメリカ両方の立場を理解した上で、自分達が平和というものをどう捉えて、そのために何ができるかを考えてもらいます。広島での平和学習が深まったことで、平和を自分事として考えるという学びをアップデートできると感じています。アフターコロナとなり、実際に現地に足を運べる環境となりましたが、ICTを活用した取り組みは続けていきます」。
オンラインでの国際交流
5年生 広島宿泊学習
数学的思考力とスキルを養う高学年の算数指導
奈良学園小学校では、教科学習の際、ノートに必ず「めあて」と「ふりかえり」を書きます。「めあて」にはその単元で何を学ぶかを、「ふりかえり」にはその単元の学習内容を自分の言葉でまとめるのだそう。算数の学習でこの「ふりかえり」をまとめるのに活用しているのが「ふきだし」です。「ふきだし」とは、授業を聞いて自分が思ったことのメモのこと。この「ふきだし」を活用することが深い学びにつながると梅田校長。
「自分の思ったことを『ふきだし』に書き、それを見ながら学習内容を自分なりの言葉でまとめることを繰り返すうちに、学習内容への理解が深まります。そして、その経験を積み重ねていくことが数学的思考力の育成につながります」。
このように日々の授業を通して数学的思考力を育んでいく一方で、計算力などのスキルを確実に身に付ける指導も大切に進めています。その指導を徹底するため、2023年度は5・6年生で習熟度別授業を導入しました。
梅田校長は「2クラスを習熟度別に3~4クラスに編成し、授業を行っています。同じ学習内容でも、少し難しい問題まで取り組むクラスもあれば、個別に教員がついて確実に理解できるように指導する少人数クラスもあります。算数は積み重ねの教科でもありますので、小学校段階の計算力を身に付けておかないと、中学生になってから困ります。算数のスキルを定着させた上で、数学的思考力をどこまで伸ばしてあげられるかを大切に進めていきます」と語ります。
「自分の思ったことを『ふきだし』に書き、それを見ながら学習内容を自分なりの言葉でまとめることを繰り返すうちに、学習内容への理解が深まります。そして、その経験を積み重ねていくことが数学的思考力の育成につながります」。
このように日々の授業を通して数学的思考力を育んでいく一方で、計算力などのスキルを確実に身に付ける指導も大切に進めています。その指導を徹底するため、2023年度は5・6年生で習熟度別授業を導入しました。
梅田校長は「2クラスを習熟度別に3~4クラスに編成し、授業を行っています。同じ学習内容でも、少し難しい問題まで取り組むクラスもあれば、個別に教員がついて確実に理解できるように指導する少人数クラスもあります。算数は積み重ねの教科でもありますので、小学校段階の計算力を身に付けておかないと、中学生になってから困ります。算数のスキルを定着させた上で、数学的思考力をどこまで伸ばしてあげられるかを大切に進めていきます」と語ります。
ノート「めあて」と「ふりかえり」
6年生 授業風景
中学生活のスムーズなスタートにつながる学び方の先取り
奈良学園小学校では、小学校入学から高校卒業までの12年間を「プライマリー(小1~小4)」「ミドル(小5~中2)」「ユース(中3~高3)」の3つの段階に区切った教育システム「4-4-4制」を採用し、子どもの発達段階に応じた教育を展開しています。「4-4-4制」を進める中で、小学校で中学校の学習内容の先取りはしていませんが、学び方の先取りはしていると梅田校長。
「小学5年生からはすべての教科が教科担任制となり、国算社理の4教科では定期考査も始まります。定期考査に向けて計画的に進めていけるよう、いつ頃からどんな内容を勉強するかを計画表にまとめてもらっています。3・4年生の段階から少しずつ計画の立て方を伝え、5・6年生では自分で計画を立てられるように指導しています」。
自立的に計画を立てる力を小学生の間に養えることで、中学に入ってからの学習もスムーズに進めることができます。
梅田校長は、「中学校で内進生が定期考査前に計画を立て、着実に勉強していく姿を、初めて定期考査に臨む中入生が参考にするという風景が毎年中1の1学期に見られるそうです。内進生がよい雰囲気作りに貢献していると中学の教員から聞いて嬉しいですね」と笑顔を見せます。
どの学校に進学した卒業生からも、定期考査に向けての勉強方法を5・6年生で学んだことは、大変だったけれど役に立ったという言葉が数多く寄せられているそうです。全体を見通して計画的に進めていく力は、今の社会でも求められている非認知能力のひとつです。それを小学生の段階からスモールステップで学べることは、これからの人生において大きな財産となるに違いありません。
「小学5年生からはすべての教科が教科担任制となり、国算社理の4教科では定期考査も始まります。定期考査に向けて計画的に進めていけるよう、いつ頃からどんな内容を勉強するかを計画表にまとめてもらっています。3・4年生の段階から少しずつ計画の立て方を伝え、5・6年生では自分で計画を立てられるように指導しています」。
自立的に計画を立てる力を小学生の間に養えることで、中学に入ってからの学習もスムーズに進めることができます。
梅田校長は、「中学校で内進生が定期考査前に計画を立て、着実に勉強していく姿を、初めて定期考査に臨む中入生が参考にするという風景が毎年中1の1学期に見られるそうです。内進生がよい雰囲気作りに貢献していると中学の教員から聞いて嬉しいですね」と笑顔を見せます。
どの学校に進学した卒業生からも、定期考査に向けての勉強方法を5・6年生で学んだことは、大変だったけれど役に立ったという言葉が数多く寄せられているそうです。全体を見通して計画的に進めていく力は、今の社会でも求められている非認知能力のひとつです。それを小学生の段階からスモールステップで学べることは、これからの人生において大きな財産となるに違いありません。
5年生 授業風景
6年生 授業風景
まとめ
先日、学校見学に来られた保護者の方から「どのクラスも子ども達と先生が一緒になって色んなやりとりをしながら学んでいて、やらされている感がないですね」という感想をもらったそうです。梅田校長は「やはり自分が知りたいと思って向かっていく学習でないと、腑に落ちる学びになりません。子ども達の知りたいと思う気持ちを引き出すことを一番大切に思って指導していますので、それが伝わったようでとても嬉しかったですね」と語ります。
子ども達の前向きな姿勢を養うために、授業だけでなく学校生活でのいろんな場面でも教員から価値観を与えるのではなく、子ども達から判断を引き出す指導を大切にしているそうです。トラブルが起こったときも同様で、例えば友達を叩いてしまうようなことが起こった場合、教員がふたりから丁寧に話を聞き、やり取りをしながら子ども達自身にそのことについて考えてもらいます。
「『それは良くない』『お互いに謝ろうか』など、価値観を与えることや判断を教員が先にすると、子どもはラクです。考えなくて良いですから。でも、そうしてしまうと、また同じことを子どもは繰り返します。だから、それぞれの子に気持ちを聞いて、『どう思う?』『どうしたら良かったと思う?』など、子ども達とやり取りすることを大切に、そこからお互いが納得できるような解決に導いていきます」。
続けて、梅田校長は「特にコロナ禍で、人との関係性を築けないまま入学してきた子も多くいます。子ども達の成長はずっとつながっていくものだからこそ、コロナ禍で不足したものをしっかりと把握した上で、それを小学校の間に埋めていきます」と熱く語ります。
梅田校長の話からは、奈良学園小学校では教員全員が一丸となって、子ども達の経験の欠けを必死に埋めようとしている様子が伝わってきました。アフターコロナとなり、学校としての真価がより目に見える時代がやってきました。その中で保護者に選ばれる学校とは、同校のような学校なのだろうと感じる取材でした。
子ども達の前向きな姿勢を養うために、授業だけでなく学校生活でのいろんな場面でも教員から価値観を与えるのではなく、子ども達から判断を引き出す指導を大切にしているそうです。トラブルが起こったときも同様で、例えば友達を叩いてしまうようなことが起こった場合、教員がふたりから丁寧に話を聞き、やり取りをしながら子ども達自身にそのことについて考えてもらいます。
「『それは良くない』『お互いに謝ろうか』など、価値観を与えることや判断を教員が先にすると、子どもはラクです。考えなくて良いですから。でも、そうしてしまうと、また同じことを子どもは繰り返します。だから、それぞれの子に気持ちを聞いて、『どう思う?』『どうしたら良かったと思う?』など、子ども達とやり取りすることを大切に、そこからお互いが納得できるような解決に導いていきます」。
続けて、梅田校長は「特にコロナ禍で、人との関係性を築けないまま入学してきた子も多くいます。子ども達の成長はずっとつながっていくものだからこそ、コロナ禍で不足したものをしっかりと把握した上で、それを小学校の間に埋めていきます」と熱く語ります。
梅田校長の話からは、奈良学園小学校では教員全員が一丸となって、子ども達の経験の欠けを必死に埋めようとしている様子が伝わってきました。アフターコロナとなり、学校としての真価がより目に見える時代がやってきました。その中で保護者に選ばれる学校とは、同校のような学校なのだろうと感じる取材でした。