追手門学院小学校
思考力や探究心を育む次世代型学習の拠点となるメディアラボが2019年春に竣工
2020年から施行される新学習指導要領に対応した新しい学びを追究すべく、この3月にメディアラボ(東館)を竣工。1888年の設立当時から行われている英語教育をはじめ、プログラミング教育を効率的に行うための環境やアクティブラーニングを実現するためのスペース、220インチの大画面を備えたフューチャーラボなど、子どもたちの思考力や探究心を育む手助けとなる多彩なフロア展開となっています。
このメディアラボとそこで育まれる新しい学びについて、井上恵二学校長にお話をうかがいました。
追手門学院小学校 校長 井上 恵二 先生 のお話
井上 恵二 校長先生
追手門学院小学校 校長 井上 恵二 先生 のお話
ネイティブ講師との距離が近く、日常的に英語に触れられるイングリッシュゾーン
1クラス20人以下で行われ、会話や発表の機会を多く取る授業内容に対応するため、イングリッシュゾーンの3つの教室は、通常の教室よりやや狭く作られています。その分、ネイティブ講師との距離が近く、その発音をよりしっかりと聞くことができます。
また教室の外側に設けられたメディアスペースには、パソコンや国際交流の記念品、パズルなどが置かれています。休み時間に自由に触ることができ、子どもたちはパズルなどで遊びたいと、このスペースを訪れます。その際、メディアスペースの一角にある先生ラボにいる、ネイティブ教員や情報科の教員ともコミュニケーションをとる機会が生まれます。より日常的に英語やパソコンについて触れてもらいたいという想いが見事に実り、授業外でも子どもたちが集まり、教員と語り合うスペースとなっています。
循環式の構成で、調べ学習・協働学習の拠点となるアクティブスペース
2階にはアクティブラーニングの拠点として、アクティブスペースとライブラリースペースが設けられています。
協働学習や調べ学習、それに伴うプレゼンテーションが自由に行えるように、2階のアクティブスペースはひとつの大きなフリースペースとなっており、可動式の机といすを採用することで、色々なグルーピングに対応します。
中2階にあるライブラリースペースは本棚階段でつながれたスキップフロア構成で、自由な行き来が可能。約1万7千冊が揃うという充実した蔵書に加え、隣接するパソコンルームでネット検索もでき、豊富な情報資源に簡単にアクセスすることができます。また、大きな本棚階段は座って本を読むほか、2クラス分の児童が並んで座ることができるので課題発表の際の座席として使用されることもあります。
ライブラリースペースでの調べ学習の後、アクティブスペースでグループワーク&プレゼンテーションという循環式のフロア構成で、次世代型教育に対応した学習スペースとなっています。
取材時には、アクティブスペースで小学校6年生の社会の授業が行われていました。この日のテーマは「摂政」について。フローチャートで時系列に沿って学んで行くという内容で、電子黒板で教員がフローチャートの作り方から説明していきます。6人ずつのグループごとにテーブルに座り、電子黒板でのレクチャーを見ながら、手元にある自分のタブレットを操作していました。積極的にグループ内でコミュニケーションを取りながら、授業に取り組む姿が印象的でした。
児童の"ちょっと休憩したい"を叶えるリラックス・スペース
このほか、図書館内にも棚に囲われたソファ席やちょっと座って本を読める隠れスペースが柱の陰に設けられています。こういったスペースを作った背景には、本にたくさん親しんでほしいという想いと共に、多くの学習施設を手がけてきた設計士からのアドバイスがあったそうです。
「時間に追われる今の時代、子どもたちの健全な生活には、ちょっと休憩したい・ちょっと隅に入りたいという願いを叶えるリラックスできるスペースが必要だと助言を頂きました。特に本校は厳しい学校と言われています。そんな学校生活の中で、子どもたちが子どもたち自身で息抜きができる場所が必要だと感じ、このごろごろゾーンを設けました。思った以上に、子どもたちが親しみを持って来てくれています。実際に私も寝転んでみましたが、とても気持ちがいいんですよ」(井上学校長)
大型スクリーンで実物大の大きさを実感できるフューチャーラボ
「もちろん、子どもたちは事前に大きさについては知っていましたが、感覚的にはまだ掴めてなかったんでしょうね。実物の大きさを実感し、なんでこんな大きな物を作る必要があったのか。どうやって作ったのかと好奇心を刺激された様子でした。子どもたちの学びには、机上の学びだけでなく実体験が必要です。本当は、実際に見て・触って・食べてとさせてあげたいのですが、物理的に無理な場合も多いです。このフューチャーラボなら、実物に近い大きさと雰囲気の中で、本物を感じさせてあげることが可能です」
大型スクリーンには実物大で見るだけでなく、ミクロのものを大きく映し出し、しっかりと観察できるという楽しさもあります。まだ顕微鏡に触ることのできない低学年の児童の観察力の育みにも一役を買っています。
また、協働学習の際にも、児童のそれぞれの意見をタブレットで提出させて、スクリーンに個々の意見を一度に投影することができ、意見共有のツールとしても活用されています。
豊かな感性を育む多彩な空間
2階にはアクティブラーニングの拠点として、アクティブスペースとライブラリースペースが設けられています。
協働学習や調べ学習、それに伴うプレゼンテーションが自由に行えるように、2階のアクティブスペースはひとつの大きなフリースペースとなっており、可動式の机といすを採用することで、色々なグルーピングに対応します。
中2階にあるライブラリースペースは本棚階段でつながれたスキップフロア構成で、自由な行き来が可能。約1万7千冊が揃うという充実した蔵書に加え、隣接するパソコンルームでネット検索もでき、豊富な情報資源に簡単にアクセスすることができます。また、大きな本棚階段は座って本を読むほか、2クラス分の児童が並んで座ることができるので課題発表の際の座席として使用されることもあります。
ライブラリースペースでの調べ学習の後、アクティブスペースでグループワーク&プレゼンテーションという循環式のフロア構成で、次世代型教育に対応した学習スペースとなっています。
取材時には、アクティブスペースで小学校6年生の社会の授業が行われていました。この日のテーマは「摂政」について。フローチャートで時系列に沿って学んで行くという内容で、電子黒板で教員がフローチャートの作り方から説明していきます。6人ずつのグループごとにテーブルに座り、電子黒板でのレクチャーを見ながら、手元にある自分のタブレットを操作していました。積極的にグループ内でコミュニケーションを取りながら、授業に取り組む姿が印象的でした。
取材を終えて
このメディアラボを最大限に生かすために、教員も日々勉強を重ねているそうです。
「教員にも幅広く教材研究をすることを求め、アクティブラーニング型の公開授業を昨年は66本、大体1ヶ月に1~2本のペースで行いました。教員も外部の研究会に参加するなどよく勉強をしてくれています。教員もよく学ぶというのは、当校の伝統なのかもしれません」と井上学校長。
最先端の技術を備えた施設とより良い教育を追求する教員。そのふたつが両輪となって、開学以来紡いできた“志の教育”がさらなる発展を遂げようとしていることを感じさせてくれる取材でした。