取材レポート

百合学院小学校

自ら考え行動し、隣人を愛し、社会に貢献する女性を育成

創立60余年の歴史を持つ百合学院小学校。キリスト教カトリックの世界観をバックボーンに女子教育を行っています。学校がめざす女性像や伝統の英語教育など、教育の特色についてうかがいました。

百合学院小学校 校長 大石 温子 先生のお話
校長 大石 温子 先生

校長 大石 温子 先生

百合学院小学校 校長 大石 温子 先生のお話

「自ら考え行動する子」を教育目標に

本校では、真に自立し教養を備え、隣人を愛し、社会に貢献できる女性の育成をめざしています。校訓は「純潔」と「愛徳」です。「純潔」とはマリア様にならい清らかな心を持つこと、「愛徳」とは聖書の教えより、人からしてほしいと思うことを人にしなさい、という意味を表しています。

具体的な教育目標として「自ら考え行動する子」を掲げ、「人とのかかわりを豊かに」「神との出会いを豊かに」「学ぶ力を豊かに」という3つの「豊かさ」を大切にしています。その教育の柱は、「かしこく」「正しく」「清らかに」。「かしこく」は学力面、「正しく」は生活面、「清らかに」は心の面、この3つの育成を重視します。

生活面では、あいさつや返事をしっかりすること、靴箱の靴をそろえることなど、人としての基本的生活習慣を指導します。一つひとつのことを6年間積み重ねることで、女性としての品位が身についていくのです。 心の教育は、宗教教育を中心に行います。お祈りやキリスト教行事などを通して、自分がいつも神に見守られていること、自分も他者もかけがえのない存在であることを学びます。また、シスターが担当する宗教の時間を週1時間設定。この時間では、聖書を学ぶとともに道徳教育も行います。

「英語教育の百合学院」として

教育の3つの柱のうち「かしこく」については、時代に応じた教育をすることを重視しています。近年特に力を入れているのは、グローバル時代に必須の外国語教育・国際理解教育です。本校では創立以来、全学年で英語教育を行ってきた歴史があります。公立校では2020年度より高学年の英語が必修となりますが、キリスト教の世界観をバックボーンとする本校では、英語教育・国際理解教育の必要性を創立時から認識していました。

英語の授業は、1~4年生は週3時間、5・6年生は週2時間を設定。「使える英語」を習得するため、「聞き取る・話す」を重視した授業を行います。すべての授業をネイティブ教員と日本人教員がペアになってオールイングリッシュで教えるのも本校の特徴と言えるでしょう。ただし、1年生の初めは日本語も交えますので「ついていけるかな?」というご心配は無用です。

ネイティブ教員といつでも会話できる環境

英語の授業だけでなく、体育もネイティブ教員が加わり、英語の指示を聞き取れるようにします。さらに、ネイティブ教員と一緒にお弁当をいただくイングリッシュランチや、休み時間、放課後など、いつでもネイティブ教員と会話できる環境を整備。子どもたちは、自然に英語に馴染んでいます。

英検受験も推奨しており、放課後週1回希望者に向けて英検講座を行います。5級~準2級のレベルに分け、学年にかかわらず自分の目標に合わせて学習することができることもあり、多くの児童が受けています。ネイティブ教員も熱心にサポートし、3級以上の合格率も高まっています。また、本校ではインターナショナルスクールからの入学生もおり、彼女らを対象としたレベルの高い講座も行っています。

英語学習発表会・ニュージーランドホームステイ

英語を使う行事も盛んです。英語の学習発表会「Let’s Enjoy Expression」は、保護者も招き全校をあげて開催。2017年度は1年生は英語の歌、2年生は「わらしべ長者」の英語劇、3年生は絵本「スイミー 小さなかしこいさかなの話」の英語劇、4年生はカトリック校としてゴスペルにチャレンジ、5年生はミュージカル「アニー」、6年生は「世界を旅しよう」をテーマに、ツアーコンダクターとなってさまざまな国を紹介しました。例年多彩でやりがいのある課題に取り組んでいます。このほか、英語暗唱大会(レシテーションコンテスト)を実施し、上位者は外部のコンテストにも出場して優秀な成績を収めています。

5・6年生の希望者対象に実施するニュージーランドホームステイも本校の特色です。春休み中10日間のスケジュールで、クライストチャーチにてホームステイ。ステイ先の児童がバディとなり、いっしょに現地校に通います。異文化を目で見て、肌で感じながら英語を使った生活をするというのは、たいへん貴重な体験となります。一度参加した子どもたちからは、また参加したいという声が多数寄せられています。

女子の特徴に合わせ、自ら考え行動する力を養う

英語を含め各教科の授業では、教育目標「自ら考え行動する子」にもとづき、自分で考え自分の言葉で発表すること、友だちとの学び合いにより思考を高めること、ワークシートなどを用いて各自で学んだことを振り返り確認することの3つの活動を取り入れます。

また、女子の特徴に合わせた教育も本校ならではと言えるでしょう。女の子は言語能力が高く、多くが読書好きで、国語が得意。字を書くのも好きで、一字一字丁寧に書きます。おしゃべりも大好きですね(笑)。学習は努力型が多く、スモールステップが適しています。そこで、本校では朝学習として10分間の読書の時間や計算の時間を設け、みんなでいっしょにコツコツと取り組むようにしています。中には、読書の苦手な子どももいますが、周りにつられて自然と読む習慣が身についていくのです。

一人ひとりにきめ細かな指導

国語では作文や感想文、記録、日記など「書く」ことに多く取り組み、考える力や表現する力を養います。そして、学年末には1年間のまとめとして文集作りに取り組みます。算数は苦手と感じる子どももいますが、全教員が協力して授業法を研究。自分の言葉で解き方を説明できるようにする、学びを自ら振り返る、さらに学んだことを実生活に活かせるようにすることをめざしています。今年度は、外部に向けて授業を公開する研究会も開催します。

教員たちはたいへん教育熱心で、子どもにきめ細かく丁寧に指導しています。授業のノートや宿題用ワークブック、算数ワークブックなど丁寧にチェックし、間違えたら付箋を貼って「お直し」です。漢字や平仮名の指導も、止め・はね・はらいまで正しくできていなかったら「お直し」。きちんとできるまで指導します。

「All in School」で放課後学習・課外レッスン・学童保育

本校が推進する「All in School」も大きな特徴です。放課後の時間を活用し、学習から習い事、学童保育までを行っています。子どもたちは学校に居ながらにして安全に学び、個性を伸ばすことができるのです。

学習面では1~5年生の希望者に向けて「フォローアップタイム」を設け、担任が一人ひとりのつまずきに応じて指導。5年生の3学期から希望者に向けて実施するのは、国語・算数の「パワーアップタイム」です。習熟度別クラスで、レベルに応じて問題にチャレンジします。夏休みには、社会・理科も実施しています。このほか、ふだんの放課後は各教室を自習室としていつでも自由に利用可能。担任や副担任が指導します。

課外レッスンとしてピアノ・声楽・チアダンスがあり、専門の講師が指導。子どもたちにも好評で、発表会も開いています。学童保育として開設するのが「ナザレトクラブ」です。月曜から金曜の19時までで、長期休暇中も実施。「ナザレトクラブ」では、礼儀作法や英語、習字、スポーツなど日替わりのプログラムも用意しています。これらのプログラムと課外レッスンなど両方を受けることもできます。

安心・安全対策 スクールバス運行

安全確保に努めています。警備員が校門に常駐するほか、校内には防犯カメラを多数設置しています。登下校を保護者に知らせるメールシステム「ミマモルメ」や、欠席連絡・緊急時連絡などのメール配信システムも導入。また、災害など非常時への対策として避難訓練を年5回以上実施しています。スクールバスも運行しています。JR尼崎駅・阪神尼崎駅・阪急園田駅に直通するコースなど尼崎市内に5つのコースがあります。下校時は15時、16時、17時に運行し、放課後の活動に合わせて利用可能です。

清潔で美しい校舎は、カトリック校にふさわしいものと自負しています。お祈りや宗教式典の場となる「オラトリウム」、自然豊かで夢のある中庭、パソコン室や英語室、プール、図書室、音楽室など施設も充実。トイレ・洗面スペースも素敵なデザインです。本校に一歩足を踏み入れれば、落ち着いた清々しい世界が広がり、学び舎として最良の環境であることを感じていただけるはずです。学校見学や体験教室へ多くの皆さんのご参加をお待ちしています。体験教室は英語や科学実験、体育など楽しいプログラムを用意。女の子だけでなく、男の子も参加できます。

カトリック私立校としての大きな教育力

これまでお話ししたように、本校はカトリックの私立校としてのよさをたくさん兼ね備えています。教職員は日々の生活や授業、行事、放課後の学習など、いつも児童に寄り添い、成長を促しています。そして、宗教教育や充実した英語教育をはじめ、自ら考え行動する力を育む各授業、「All in School」……公立校ではこれらすべてをかなえることは難しいでしょう。私立だからこそ実現できる教育なのです。

女子教育の実績も、重ねて強調したい点です。その子ならではの長所や、よい行い、小さな進歩をしっかりと認めて大いにほめ、ヒロインのような気持ちを引き立ててあげることが大切です。教職員たちはそうした女の子の心をよく理解し、指導しています。本校では、これからも自ら考え行動する女性、隣人を愛し、社会に貢献できる女性を育成していきます。

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