取材レポート

百合学院小学校

『英語教育の百合学院』として。新しい英語プログラム「Read to Me」運用スタート。

創設より60余年、百合学院小学校ではキリスト教カトリック精神を基盤として、小学校から高等学校までの12年一貫女子教育を行ってきました。真に自立し教養を備え、隣人を愛し、社会に貢献できる女性の育成を目指しています。学校教育目標として「自ら考え、行動する子」と、目指す姿が表現されています。

また「人とのかかわりを豊かに」「神との出会いを豊かに」「学ぶ力を豊かに」という3つの「豊かさ」を通した心の教育が大切にされています。教育の柱として「かしこく」「正しく」「清らかに」の3つの柱が設けられており、「かしこく」は学力面、「正しく」は生活面、「清らかに」は心の面を指します。カリキュラムを通して、この3つのバランスが取れた子どもの成長を目指して来られています。

今回の訪問では、近年、とくに力を入れられている英語教育について取材を行いました。『英語教育の百合学院』として、グローバル時代に必須の外国語教育・国際理解教育が展開されています。同校ではネイティブの教員も長く勤務されており、英語科教員ががっちりとスクラムを組んで、児童一人ひとりのレベルに合わせて、英語力の向上を促しています。

今、同校の保護者の方々からも大きな期待が寄せられている英語教育について、英語科専任教師として子どもたちとともに生活を送られているビル・アレン先生と、コーディネイターとして英語教育や国際交流活動をプロデュースされている児島利香先生にお話を伺いました。

英語科専任講師 ウィリアム・ユージン・アレン 先生
英語科コーディネイター 児島 利香 先生 のお話

ウィリアム・ユージン・アレン 先生

ウィリアム・ユージン・アレン 先生

児島 利香 先生

児島 利香 先生

『英語教育の百合学院』としての恵まれた環境

百合学院の教育の柱のうち「かしこく」については、時代に応じた教育が展開されています。カトリック校として創立以来、全学年で英語教育を行ってきた実績がありますが、近年はさらにグローバル時代に必須の外国語教育・国際理解教育としてカリキュラムが構成され、学校生活を通して子どもたちが自然と英語に触れられる環境が整えられました。たとえば、20年以上に渡って勤務されているネイティブの先生の存在も大きいそう。アレン先生は英語を学び始めた低学年の子どもたちの授業はもちろん、外国語教育全体に携わりますが、同時に同校のベテラン教師として、クラブ活動や掃除など、さまざまなシーンで子どもたちの学校生活に深く関わっています。ご出身のアメリカで体育の教師として活躍されていた経験を活かして、百合学院でも体育の授業を担当することも。子どもたちとの関わりに熱心な3名のネイティブの先生と休み時間や放課後など、いつでも会話できることで、学校生活に自然と英語が存在しています。

現在、英語の授業は、1~4年生は週3時間、5・6年生は週2時間を設定。「使える英語」を習得するため、「聞き取る・話す」を重視した授業が行われています。またすべての授業をネイティブ教員と日本人教員がペアで、大半をイングリッシュで展開するのも特徴のひとつ。入学当初は日本語も交えた授業で、身体を動かしながら楽しく学ぶ内容が充実しているため、それまで英語の経験がなくても心配はないとのことでした。

「読む」力を強化する新プログラム『Read to Me』がスタート

2019年4月からは4年生からの英語授業として新プログラム『Read to Me』がスタートしています。これはリーディング力を飛躍させるためのパソコンを使った「読む」英語教材で、一人ひとりの習熟度に合わせて教材に取り組むことが可能です。

取材時は視聴覚教室で行われた5年生の授業を見学させていただきました。授業がスタートすると子どもたちは自分専用のヘッドフォンをつけ、慣れた手つきでパソコンを使ってプログラムをスタートします。自分のレベルに合わせた教材をチョイスして、音声を聞きながら物語を読んでいます。読書感覚で英語のストーリーに触れられるため、好きな子はどんどん進んでいけるそう。途中、わからないところがある場合は、スムーズに進められるよう先生がサポートされており、各自のペースで授業に取り組む姿が印象的でした。

また教室の後ろには、読書量がランキング形式で張り出されています。授業後にはランキング表をチェックする子どもの姿もあり、励みにしている様子が伝わってきました。

『TOEFL® Primary』を導入し、英語力の成長を定期的に測定

百合学院小学校では、学校をあげて英検受験が推奨されています。今までにも放課後には週1回、希望者に向けて英検講座が実施されており、5級~準2級のレベルに分けて、自分の目標に合わせて学習を積み重ねてきました。インターナショナルスクールからの入学生を対象としたオールイングリッシュの講座も展開してきました。

そんな中、今年度からは『TOEFL® Primary』のチャレンジがスタートします。総合的な英語力を世界基準で測定するTOEFL®ファミリーの最初のグレードです。小学生から成人に至るまで、継続して正確に英語力の成長度合いが測定できるため、身体測定と同じように自分の成長を実感することも狙いのひとつ。取材に訪問した日は、ちょうど保護者の方へ『TOEFL® Primary』導入についての説明会が実施されていました。参加された保護者の方の関心も高く、導入に対する期待がうかがわれると担当の先生が話してくださいました。

日頃の成果を発揮する場としての英語・学習発表会

年に1度、英語と日本語による表現を楽しむ発表会LEE(Let’s Enjoy Expression)では、劇やミュージカル、ゴスペルなどを英語で表現し、各学年趣向を凝らした取り組みを行います。1年生は英語の学習を始めて半年程度ですが、英語で歌ったり、台詞を伝えたり、一生懸命な姿が見られます。高学年はさすがにゴスペルやミュージカル、調べ学習を英語で発表するなど堂々としたもの。その表現力には保護者も驚かれるほどだそうです。

ほかにも外部の英語暗唱大会(レシテーションコンテスト)に出場し、英語で表現し、伝えることにチャレンジしています。

『All in School』で、充実した放課後を学校で過ごす安心

百合学院小学校は、「All in School」のコンセプトのもと、放課後の課外授業が充実していることも特徴です。放課後を活用して、学習や習い事、学童保育を実施。子どもたちは学校に居ながら安全に学び、個性を伸ばすことができます。

学習面では1~5年生の希望者に向けて「フォローアップタイム」を設け、教員が一人ひとりのつまずきに応じて指導。5年生の3学期から希望者に向けて実施するのは、国語・算数の「パワーアップタイム」です。少人数クラスで、レベルに応じて問題にチャレンジします。夏休みには社会・理科も実施。普段の放課後は各教室を自習室として、いつでも利用でき、担任や副担任が指導します。

学内での課外レッスンも充実しています。ピアノ・声楽・チアダンスがあり、専門の講師が指導。子どもたちにも好評で、発表会も開かれています。学童保育として開設するのが「ナザレトクラブ」です。月曜から金曜の19時までで、長期休暇中も実施。「ナザレトクラブ」では、礼儀作法や英語、習字、スポーツなど日替わりのプログラムも用意されています。

保護者の働く環境によっては、帰宅後の留守番が長くなる場合もありますし、放課後の子どもの安全の確保は、どの家庭においても重要なポイントです。『All in School』の取り組みは、保護者の方からも喜ばれているそうです。

まとめ

『英語教育の百合学院』として、充実した学びの環境とプログラムで、外国語教育・国際理解教育を展開されている百合学院小学校。一方では伝統的に国語教育に力を入れられてきた実績があります。女子の持つ特性にあわせて、スモールステップでこつこつと丁寧に指導をすることで深まる国語力は、豊かな英語力を育むための土壌となっていると感じられました。

また、どの先生も子どもたちにやさしく大らかな雰囲気。「すべての人を大切にする」カトリック教育にある、先生方と子どもたちの深い信頼関係が感じられるほほえましいシーンを多く目にしました。取材時はちょうど白百合が美しく花開くシーズン。学校の玄関で私たちを迎えてくれた姿勢のよい白百合に「自ら考え行動し、社会に貢献する女性像」が重なりました。

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取材協力

百合学院小学校

〒661-0974 兵庫県尼崎市若王寺2-18-2   地図

TEL:06-6491-7033

FAX:06-6491-2229

URL:http://elem.yuri-gakuin.ac.jp/

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