中学受験にも対応している教育の特色について、洗足学園小学校 進路指導部長・宮田好展先生、2023年度に6年生を担当していた上原征大先生、村松夏希先生にお話を聞きました。

■ 洗足学園小学校が考える「中学受験」

「本校では、『社会のリーダーを育てる』という目標を実現するために、複数の独自教育プログラムを行いながら、リーダーとしての礎を築き上げています。当たり前のことを当たり前に取り組む姿勢を大切にして教育活動を行っていくと、その先に中学受験があるという感覚です。各教科の教員は、その教科を好きになって、学ぶことを楽しめる人になってほしいという思いで授業を行っています。『好き』から学習意欲が生まれ、『得意』になれば自然に中学受験へとつながっていくのです。中学受験は、子どもたち自身で目標を設定し、そこに向かって努力して結果を出します。その経験は、この年齢の子どもたちにとってはかけがえのないものであり、課題解決の姿勢にもつながっていくと考えています」(宮田先生)
(左)進路指導部長 宮田好展先生
(中)村松夏希先生 (右)上原征大先生

■ 中学受験に挑戦する児童の割合

ほぼ100%
※内部進学の場合は内部入試を12月に実施。

■ 中学受験へのバックアップ

□受験を意識したカリキュラム
全教科1年生から思考力や出題範囲など、受験を意識したカリキュラムを編成。授業時間数を標準より多く設定しているので、普通のペースで進めていくと結果的に先取り学習になっている。授業時間数が多い分、体験学習を重視。
 
□オリジナル教材(理科・社会)
理科と社会はオリジナル教材をもとに授業を進め、6年生の1~2学期には範囲が終わるように設定。知識と経験をつなげられるように、社会科見学やオンラインでの他校との交流、理科の実験や校外学習など、新しい学びがある環境を整えている。また、「実験理科」という授業を毎週2時間続きで実施し、そこには理科の専門の教員が2名ついている。
 
□国語の授業を細分化
国語は6年生の3学期まで通常授業を行うが、高学年は教科書と同時進行で各分野に特化した授業を進める。例えば5年生では教科書のほか、演習国語(読解問題)、言語、漢字、書写、読書の授業を実施。また、3年生から教科書とは別に読解教材を用いて「読解演習」を行っている。
 
□複数担当者制(算数)
算数は毎日授業があるが、一部の授業でメインの教員のほかにもう1人教員がサポートに入るティームティーチングを導入。1~2年生の授業でも、担任が行う授業と専科の教員が行う授業があり、複数の目で見て細やかな対応をする環境を整えている。算数は6年生の2学期の途中で範囲を終えて、後半は問題演習。
 
□模擬試験
3年生から外部模試を校内で実施。3~4年生は国・算、5~6年生は国・算・理・社。志望校選びの参考にすることが目的ではなく、試験の受け方や場慣れをするために行っている。試験の受け方についてしっかりと考えるために、試験の後には振り返りの時間を設定。
 
□「受験体験座談会」(4~6年生の保護者)
3月に卒業した児童の保護者をパネリストに迎えて、様々な体験談を聞くイベントを毎年4月に開催。
 
□卒業生に話を聞く「教えてセンパイ!」(6年生)
夏休み前には卒業生(中1~中2)に来校してもらい、夏休みの過ごし方などを聞く機会を用意。教員や保護者が気づかないような子ども目線でのアドバイスに、6年生はメモを取りながら真剣に耳を傾ける。

■ お受験じょうほう編集部はココに注目!

●「好き」の先にある「中学受験」
同校の教員が最も大切にしていることは、それぞれの教科を「好き」になってもらうことです。体験学習もその一環であり、3年生から専科制を取っているのも「好きの種」を蒔くことにつながっています。問題を解くためのアプローチの仕方を学び合うことも大切にしているので、多様な考え方に触れられるように習熟度別クラス編成にはしていません。「好き」になると子どもたちの学習意欲が増し、その結果「得意」になり、それが「中学受験」へとつながっているのです。
 
●受験校別の対策は個別対応
小学校教員免許にプラスして中学・高校の教員免許取得率約70%という中で、それぞれの専門分野を活かして3年生から専科制をとっています。授業や補習で受験校別の試験対策などは行っていませんが、児童から休み時間や放課後に直接、あるいはロイロノート(iPad)を通して質問があれば、各教科の教員が個別に対応。受験本番も、最後の最後まで全力でサポートしています。

■ プラスαの力

「1年生の3学期から6年生の卒業まで、『日記漢字』に取り組みます。半ページが日記、半ページが漢字練習用となっているノートを使い、毎日書いて担任に提出。担任はそれをチェックしてコメントを書き、休日は保護者が代わりにチェックします。また、独自に考案した32段階の『筆算能力検定』も1年生から月に1回行っています。到達度に応じて挑戦していけるように20級から始まり、1級の次は初段、10段の次は名人、最後が超人です。1年生からコツコツと、積み重ねていくことも大切にしています」(上原先生)
 
「本校では、1年生から6年生までの『たてわり班』を構成し、総合学習の時間を中心に活動しています。2月1日の受験本番前日には激励会を開催して、『たてわり班』でお守りを作って6年生に渡すことが伝統です。それぞれ保護者が用意したお守りもありますが、後輩に作ってもらったお守りも大切に試験会場へ持っていきます。そして卒業後には、後輩たちのために体験談を話しに来るなど、縦のつながりが子どもたちのモチベーションになっているのも本校の特色です」(村松先生)

■ 進学先の一例(2023年度)

□共学校
慶應義塾中等部、渋谷教育学園渋谷中学校、筑波大学附属中学校など
 
□男子校
麻布中学校、栄光学園中学校、開成中学校、慶應義塾普通部、聖光学院中学校、筑波大学附属駒場中学校など
 
□女子校
桜蔭中学校、女子学院中学校、洗足学園中学校、雙葉中学校など

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